竹庭喫茶

今日は鎌倉駅から歩いて三十分ほどの所にある禅寺、報国寺の「竹の庭」にいってきました。
禅寺らしいこじんまりした本堂を抜けたところにある、竹の庭の端っこの「休耕庵」という茶席は、私にとってもとても気持の落ち着く、お気に入りの場所です。
休日のため庭内に常時二十名ほどの人々のひとがいるにもかかわらず、無数に生える竹に柔らかく反響するのか、ひょっとして下草に吸収されているのかと思うほど喧噪を感じない空間です。
茶席に座って抹茶を飲み、天にまっすぐ生える竹の庭を眺めているだけで気持ちが澄んでゆくのを感じます。ふと周りを見まわすと、茶席に入ってきたときは微かに棘を含んだような、やや調子の外れた声たちもやがて柔らかで規則的なものに変わっていることに気づきます。
竹の間からさす穏やかな光や仄かな竹の香り、流水のせせらぎや遠くに聞こえる鳥の鳴き声の作り出すこの場はやはり特別な癒しの場のようです。
日が暮れるまでにだいぶ時間があったにもかかわらず、今日はここだけでもう十分な気がして、帰路についたのでした。