The baddhist image archaically smiles.1.a prologue 〜coming along〜

ある嵐のあくる日、ある男が川の側の流木を拾っていると、川の浅瀬の方に人型をした物体が浮かんでいるのが目についた。男が素足で川にはいって近づいてみると、その物体はどうやら仏像であるらしかった。流木と一緒に引き上げてみると、その仏像は泥で幾分汚れ、胸には刀傷が数本、脇腹には何本か矢が刺さっていた。男は、戦乱の渦巻く昨今、その方が自分の村では却って安置しやすいとそのまま馬で引いて村に持ち帰った。男は村に帰ると、村の中程のあまり手入れの行き届いていない古寺の軒先に仏像を据えた。その寺は建てられた時代からだいぶ経っているのか、何度も応急措置が施され、いくつもの建築様式が混在していてちぐはぐな佇まいをしていた。仏像が安置された頃、その側の畑から鳥が何羽かどこかの空に向けて飛び立っていくのが見えた。