a beaver build up a little public garden.7.cafetrium

エアフィールド・スミス・ジュニアは、いつものコートに身を包んで、湖畔にある街の中央の広場の近くのカフェに出かけました。コーヒーとほのかな木の香りの漂うこのカフェは、音楽の絶え間ない調べを背にして、寒い冬の間街中で暮らす動物たちやこの街にもともと住む人間たちでとても賑わっていました。お客さんの中には何かのお祝いをしているパーティもいるようです。彼は入口でお店のオーナーらしき人に瞬きで一礼すると、吹き抜けになっている空間の2階の窓のそばの席に腰を掛けて、丸いテーブルの上に置かれた黒猫の呼び鈴を柔らかく揺らしてリリリンと鳴らしました。そして、彼は飛んできた青い小鳥にミルフィーユとカプチーノを注文しました。しばらくすると、オーナーが気軽な仕草で彼の席までやってきて、「はいどうぞ。」と秋栗のミルフィーユとカプチーノをテーブルの上に重ねました。彼はオーナーに「このカフェは何で出来ているのでしょうか。」と尋ねると、オーナーは「当店も一般的なカフェとは少し組成の異なる場所です。けれど、人や動物たちの集う所は皆どこでも、森のきれいな空気と木材、混沌という泥から生まれた煉瓦、そしてなによりも温かい気持ちや智恵からできているということです。これは当店も例外ではありません。もっともちょっとした秘密、あるいは神話のようなものがございますけれど。」と微笑して今度は店の奥の方に歩いていきました。エアフィールド・スミス・ジュニアは三日月の印がついたカップに溢れるほど注がれたカブチーノの優しく泡立てられたミルクの上から、宝石のような細かな断面の外国製の砂糖を加えて、襟なしの緑色のシャツを着たコアラのスプーンでゆっくりかき混ぜました。そして、やはり、集った人が心地よくあそび、アイデアを思いつくような空間を作ろうと思いました。どこまでも遠く続く空と地平の間から、動物や人間たちの想いや気持ちを縒り集めてなにかに編みあげるためには、まず小さな核のようなものを拵えて、育てることが大切であるようです。