Long time no see but little invisible 3.eyeshot.

昔々未だ空と地の境が遠く曖昧だった頃、ここから幾つか山を越え、海を渡ったあたりのお話です。ある大陸の中央からやや南で道が三つに分かれて、やがてまた一つとなる場所がありました。外国製の辞書や文房具を扱う商人がこの辺りを通ってこう言いました。「とてもいい土地ですね。」。それを三人の村人が聞いて、一人は左側の道を、二人目は真ん中の道を、そしてもう一人は右側の道を進むことにしました。一人目の村人は、視線を地面に張りつけて、「異邦人がちょっと見ただけで分かるはずがない。危険な場所かもしれない。わたしが確かめてみせる。」と思い、一生懸命辺りを探し始めました。すぐに石礫がみつかり、一週間が経ち、1カ月が経つ頃には、男のカゴは尖った石つぶてで一杯になりました。男は顔に強張りと疲労を強く浮かべて、「やはり私の考えに間違いはなかった。ここは危険な場所である。」と言いました。二人目の男は、土地と空を眺めて、「それならば家と庭を造ろう」と思い、その土地の石を石垣に、土を乾かして焼き上げて煉瓦にして積み上げて家と庭を作り、木を切り出して家具や燃料にしました。半年が経つ頃には、その素敵な家と庭は完成して、男は「やはりとてもいい土地だ。家と庭を作ることができた。」と言いました。三人目の男は、瞳をあげてまず空を見つめてひとしきり思案した後、土地を見渡して、「それほどいい土地ならば、よい作物を作り、村に運ぶことができるだろう。」と思い、石を避け、土地を耕し、小麦の粒をそっとまきました。1年が経つ頃には、小麦の輝く小さな風景となりました。男は「本当にとてもいい土地だ。畑を広げよう。そして他の村人も呼んでこよう。」ととても安らいだ顔で明るく微笑して言いました。この小高い丘のある地域はやがて、家々と美しい小麦畑や果樹園の点在するよく空の見える場所になったということです。