a beaver build up a little public garden.8.a telescope of statement

エアフィールド・スミス・ジュニアは、2杯目のカプチーノを飲みたくなって、黒猫の呼び鈴を鳴らしました。すると店のオーナーが奥からでてきて、鳩くらいの大きさの包みをテーブルに置きました。その包みは、いちごの密な絵柄がくっきりと描かれた絹でできていて、袋の入口から親指くらいの長さの所で、愛らしいリボンでキュッととめられていました。「この包みには何が入っているのですか。」と尋ねると、オーナーは「メッセージを見ることができる魔法の品なのです。コーヒーを待っている間、すこしだけあなたにお貸ししましょう。」と言いました。彼はいつのまにかこめかみにかかった髪を耳に掛けると、その小さな望遠鏡を手にとって瞳にあて、2階の窓から外に広がる街を眺めました。晴れた空の下の街はみな揃って明るく照らし出されています。路をはさんで正面にある小さなケーキ屋を見ると、店のまわりの和やかな空気の中央の方に橙色と黄色に輝くショートケーキのようなものが温かく光って見えました。十字路の角の雑貨店は緑と黄色をした籠を持った妖精が踊り、その隣のパン屋には赤と緑に光る安らいだ笑顔で子供がクロワッサンを頬張り、果物店には緑と黄色の丸いオレンジのようなものが見えます。一方で、少し離れた所にある食料品店の一つやその隣の工場の一つは複雑に重なり合った暗い霧のようなものが漂っていて、よく分かりません。コーヒーカップを紫色のトレイに大事そうに載せて再び現れたオーナーに「この望遠鏡でも見えないものがありますね。」と言うと、オーナーはカップをテーブルの上にゆっくりと置いて、皿とカップの位置を整えると、「はい。魔法の品とはいっても、光を遮るものまではっきりと見透すことはできません。」と答えました。彼が「和やかな空気や輝くレリーフ、あるいはあの重たい霧は何で出来ているのですか。」と尋ねると、オーナーは「どれもメッセージには違いないようです。人も家もそこに在るだけでメッセージを常に発し続けているものです。たとえ、どの店にも核やそれを大切に包むものがあったとしても、お手入れをしないとお客様は無論、店の者も関係者の誰にも分からなくなってしまうようです。」と言いました。エアフィールド・スミス・ジュニアが望遠鏡から眺める街は、遠く和やかな空気に包まれた様々なレリーフとそれよりもとても多い数の重たい霧の中に佇んでいるのでした。