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A fruit tree at the base of mountain.4.

夜おそくから降り始めた雪は、朝にはあたり一面を優しい白と眩い銀の世界へとかえていました。雪は、街道や地面のデコボコはもちろんのこと、そこら中のイガイガやトゲトゲ、モコモコもおおかた隠してしまって、明るく輝いていっそう輪郭をぼかしていきました。それでも、雪で覆われた世界はシンとしていて、もののかたちも、近くも、遠くまでも不思議とはっきりみつめることができそうなのです。葉っぱは、小さな葉に受けた雪を地面にそっとおろそうとしました。すると「あっここにいるよ。」と笛や竪琴を抱えた小さな動物たちが、手をふり、軽やかなステップで、葉っぱの横、樹々のあい間を行進していきました。森の樹々や動物たちもみな囁くように、あやすように「おかえり。ただいま。」と言葉をかわしあって、次の四つの季節を迎える準備をしていました。「リリリン。リリリン。」と宇宙の鼓動に合わせるような静かな祈りの音楽が森や街に溢れて、響きあっては夜に溶けていきました。