A fruit tree at the base of the mountain.7.

葉っぱのジョルジョは星の断片(かけら)を探しては、辺りがシンと静まる月夜の刹那に洋燈を少しずつ丁寧に作っていきました。この「宙空の鏡」は、空に見える星々と同じように球体をしているのでしたが、宙空のどこかだけでなく、水やりに行く花畑のある丘からも、水を汲む湖水からも、隣街の中央広場にある教会の塔からも、そして葉っぱを踏んだり、食べてしまおうとする草食獣から身をかわす草原からも、やはりしっかりと目にすることができるようなのです。おそらく藍色の宙空からは楽しく、緑の野原からは不可解に、地中の暗闇の生き物には眩しく見える代物なのでしょう。葉っぱは、そっと作っているのにしてはこの鏡はちょっと目立ちすぎるのかしらともおもうでしたが、生き物はみなそれぞれの空気を自然と纏うものであるのだし、不可視でも強く影響し続ける星のちからを鏡の形にするのだし、と一層懸命に優しく組み上げることにしました。葉っぱにとってもこの鏡は可能性のようなものであるのです。葉っぱは鏡に装飾だけでなく、ちょっとしたチクチクもつけることにしました。渡り鳥のダグラスの話ではそろそろ、淡紅の花が咲きはじめる季節。宙空の鏡を桜色に彩るには、桜色の星の断片(かけら)が必要なようです。葉っぱは白い狼のエイドリーを見習って、ちょっとだけ遠くまで探しにいこうときめたのでした。