A fruit tree at the base of mountain.24.

  葉っぱのジョルジョは、まず半透明のちいさな飛行船をつくりました。この飛行船は既にひとやものを運ぶことができますが、風にのるだけで推力全開とはいきません。それでも常に拡張できるようにやわらかい構造をもっています。すぐに確認できるように、危急のときにまにあうように、白いブイ(座標)も宙空のあちらこちらに浮かべていきました。そして葉っぱは、船の胴体を再度成型し、翼にファンを搭載しながら、なおも考えていました。そのとき無線で「組むことについて。」と葉っぱは聞きました。水脈を汲み、光を受けて浮かぶ船は、部分的でも透明でもよく、おおきさも問いませんが、組んでわかちあうことで必要な場所、必要な時にむけて運ぶのです。けれど、のまれて浮かぶ船はきっと稀少。鯨の胃袋にある船はどこかのお話にだけ存在することでしょう。芯と根ができた今ならば、と葉っぱのジョルジョはおもいました。いつも新しい朝の光景、明るい午後、いつかみた夕陽の向こう側、星空のはじまりの場所。飛び、運ぶ道程こそ飛行船の本懐。これもはこぶね。葉っぱのちいさな飛行船は短い航海の静かなかえりみち、他のちいさな飛行船と一緒に、藍色の宙空の高い塔にある桟橋にそっととまっていました。