A fruit tree at the base of mountain.25.

 

 

葉っぱのジョルジョの半透明の飛行船は、藍色の宙空によりそうように、だいたいゆったり、ときにはキューキューと速度をあげて進んでいきます。船が、宙空の諸処を結ぶ雲のなかに入ると、行き交う他の飛行船や光の粒に紛れて、透明な空気のしっぽのごく少数の折れ曲がったその先の、そのまた先の束のバサバサが影をふくんで、船の四角い窓にそれとなくあたることはありますが、それはそれ。それはいつか飛ぼうとする船をおそうものであり、また、風向きと渦、空のひとつの層を知る手懸かりでもあるのです。明るさは暗闇によってより輝く。飛行船はその場でもチカチカと他の飛行船と合図をかわし、その先で光や風と直に対話するのです。そして何より宙空には、白くたなびく星雲、銀色に輝く無数の星々、巨大な飛行船が浮かび、航路を知るのです。ある夜、他の船もとまる港の桟橋の一角にあって、葉っぱは「みなともつくろう。」と思いました。飛んでこそかたちになるのが船。けれどひとときの休息の地はいつでも必要のようです。