A fruit tree at the base of mountain.30(改題予定)

葉っぱのジョルジョの半透明の飛行船は、冬から春へと向かう祈りと願いの季節、飛行船の浮かぶ宙空を、帆船の行き交う湾を、塔の麓のなだらかな街を、西方へと続く果てしない道を、南方の碧色の島々の間をときに素早く、ときにゆっくりと旋回していきます。荒野に雷火が走り、轟く雷鳴は、山々に響いては森を林を野を震わせて、街へと伝わっていくかのようです。森や大地が受けとめきれず溢れる轟音が奔流となり、育ちつつある苗や若木をおしながさないことを。受けとめて想い馳せることを。葉っぱも船を整備しながら、悲劇から愛情の種を、無理解から対話の種を、恐怖から友好の種を生みだすことができるのかについてじっくり考えるのです。たとえその種子が他所の土地で芽吹くものだとしても。これからまもなく花と若葉の頃合い、葉っぱは宙空に海に大地に思いを寄せるのです。