続イギリス「EU離脱」など

EU離脱が決定したイギリスでは、保守党の党首選が行われることになり、「離脱派」の旗振り役、ボリス・ジョンソン氏(全ロンドン市長、現保守党下院議員)は6月30日、立候補しないことを明らかにしました。また、同じく「離脱派」のナイジェル・ファラージ氏は、イギリス独立党の党首からの辞任(欧州委員は辞任せず)を7月4日、表明しました。前者は、「同僚と相談し、議会の現状を考えると私ではないという結論に達した。」と言い、後者は「私の役割は果たした。」と述べました。離脱に向けた(不確実性が高く、おそらくは困難をともなう)過程の前にして、今回のEU離脱の「功績」をまず「確定」しておき、一定の影響力を保持する狙いがあるのでしょう。(狭義の)「ポピュリズム」(大衆迎合主義)の危険性は、ムーブメントを当初主導する側が仕掛けるうちはまだしも、むしろ主導した側が煽られ、いつのまにか踊っている(あるいは踊らされてしまう)ことにあるとするならば、両者が表舞台から一旦ひくことで、想念の集合体のような渦に煽られることを避け、より大きな破壊を防ぐ効果はあることでしょう。無論、今回の流れのうち、ポピュリズム的な要素がどれだけを占めるのかは議論のあることでしょうが、この両者の行動には対岸のヒトラーの教訓が生きているとも言えます。今回の両者の行動にイギリスの「混迷」を指摘する声もありますが、この意味では、むしろより少ない混迷が選択されたといえるのではないでしょうか。EU離脱という形式がきまったことで、一部の熱気のような部分は冷まされて、今後は手続きと交渉が進められる段階に入り、イギリス・EU双方で広域の経済圏(市場)や労働力の移動について、実質的な利益の調整が進められるのでしょう。