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A fruit tree at the base of mountain.32(改題予定)

葉っぱのジョルジョの飛行船は氷山の浮かぶ空域近くの岬の港に寄港していました。宙空では帚星の尾が恒星をめぐる惑星の環にあたって、輝きをみせていました。冬を控えるこの時節、おおきさも、かたちも様々な飛行船が昼頃この埠頭に数多くやってきて、やがて夕陽を受けてやわらかくその輪郭をみせていきます。すぐそばのドック(船渠)にはいくつかの船が係留され、工程に沿って修理されているようです。白い船腹に紺色のラインのはいった飛行船は、揚力の調整が行われ、機体後方の大きな腹腔を新たな構造で支え、おもてをなす滑らかな曲線を描く外観をつくって、船首を南にきりりとむけているのでした。虚ろからは怖れが、怖れからは憐れみが。再興からは羨望も。けれどその船が海原で求めるのは航海の安寧と友情であるかもしれません。普遍の構造をもつ飛行船は、それでもその空域の気象、船のはたらき、乗客、船乗りの気質に応じてかたちづくられていくようです。再びの航海へ。