a beaver build up a little public garden.1.a prologue

秋も緩やかに深まり、周りの山々や湖、少し遠くに見える海の景色も七色の木の葉で丁寧にゆっくりと覆われていくようでした。まだ若いビーバーのエアフィールド・スミス・ジュニアは、丘の斜面でお昼寝をしていましたが、目と耳元がくすぐったくなってふと目を開けると、森や山の木々から風に浮かんだ赤や黄や橙色の美しい木の葉が顔の上に積もって、透けて見える青くて黄色い光を纏った空がいっそう眩しく瞳に映ったのでした。彼はおでこを内側から押し出すようにブルルと振って、葉っぱをよけると、左前方の位置にある湖を眺め、湖面の中央に明るい橙や赤で覆われた密な島影が見えることになんだかほっとして、葉っぱを何枚か拾い上げて胸のポケットにそっとしまうと、ゆっくりと立ち上がりました。彼はそろそろ次の季節の準備をしよう、と思いました。今住んでいる巣は、手狭になってきて、雨が降る時など雫が天井と壁を伝ってじわりと滑り降りてくる程ですが、友達の兎のジュリエッタの話によると、夜の暗闇の中で外からあの巣を見るとスミスの姿が透けて、そればかりか少し歪んで見えたりするそうなのです。ジュリエッタは両方の耳をピンと立てて、「巣の位置や造りも大事です。このあたりにだって狼が通ることがあるかもしれませんから。」と月夜の晩に彼に言いました。この際新しい巣を作ろう、エアフィールド・スミス・ジュニアはそう決めました。