a beaver build up a little public garden.9.the relief sculapture on the cradle.

エアフィールド・スミス・ジュニアは、小首を軽く傾げると、傍らに立つ店のオーナーを見上げて、「どうすれば、あの柔らかく輝くレリーフのようなものをつくることができるでしょうか。」と尋ねました。オーナーは優しく微笑んで、「その望遠鏡のつまみを動かして御覧なさい。」と言いました。彼が、手元のつまみを左手のひとさし指で押すと、望遠鏡はカチリと音を立てて、見える風景を少し変えました。ケーキ屋の橙色と黄色に輝くショートケーキも、雑貨店の緑色と黄色の籠を持った妖精も、パン屋の笑顔でクロワッサンを頬張る子供も、果物店のオレンジも透明な綾糸で織り上げた光輝く揺りかごの上にみな揃ってそっと優しくあやされているようです。彼は、「揺りかごも見えますね。あのレリーフと揺りかごは何でできているのですか。」と尋ねると、オーナーは「揺りかごはお店が望む素敵な未来のイメージ。綾糸はお店が大切にしている感じ方や信じていること。あのレリーフのまわりに皆柔らかく通う愛らしい輝きはお店がお客様に必要としてもらえる理由が顕われているそうです。そしてあの明るく澄んだレリーフは、輝く初着にくるまり、揺りかごにあやされて育つそうです。」といいました。彼は、「千里万里の景色だけでなく、こんな光景が見えるなんて、とても素敵な望遠鏡ですね。」といってオーナーに望遠鏡を返しました。エアフィールド・スミス・ジュニアは、花摘みをしている姉妹とも思しき絵柄の美しいお盆の上に置かれている青と紫の麻のハンカチーフにくるまれた小さなスプーンを紐解いて、遠い南の島の印のついた硝子の小瓶に入っているキャラメル仕立ての砂糖を掬うと、二杯目のカプチーノの泡立つミルクとシナモンパウダーの上からさわさわと振りかけました。カプチーノは翠色のカップの中で尚も温かで香ばしい湯気を静かにたてていました。