イギリス「EU離脱」など。

イギリスで6月23日「EU離脱残留か」の国民投票が行われ、投票率71.8%、「離脱」への得票率51.9%(BBC)の結果、「離脱」がきまりました。

 

国民投票そのもので国の在り方、行き方を問うことに可否の評価はあるでしょう。

民主主義は圧倒的によい(わるい)ものではなく、相当程度よい(わるい)ものをきめるプロセスと理解することもできます。その意味で今回の投票は、急激な難民や移民の増加、格差の増大によって、「受益者」と「負担者」を(狭義の「論理」ではなく)実感として結びつけることができなかったイギリスとEUそのものの現時点での姿、限界を表しているのでしょう。「ひとつ」になったことでかえって共通の事象に脆弱性をもつということもかんがえておかなければなりません。Googleトレンドによると投票後に”What does it mean to leave the EU”や”What is EU”や”などの検索ワードが多く計測されたとのこと。おそらくは離脱への衝撃の大きさから、イギリスの国民の今回の問題についての理解不足を指摘する声もありますが(無論、2013年時点で人口6,000万人強、投票率71,8%の中にはそういうひともいるでしょうが)、ものやサービスを買った(売った)あとで、雑誌やWEBを眺めるのと類似する、確認する行動と理解する方が、むしろ妥当ではないでしょうか。EUのような広域の経済主体、政治主体が成立、継続するためには、市民が決定になんらかのかたちで参加できる、求心力をもつ「地域」や「地方」、あるいは「政党」が前提になると思いますが(そうでないとただ不可視の大きくて重いものを戴くことになります)、この点でイギリスやEUの現状はどのようなものでしょうか。移民についても、人口の漸減が明らかである先進諸国には本来、サービスのにない手や消費者としても歓迎されるべきものです。けれど、ただ自由にというではなく、(歴史的にヨーロッパで地域コミュニティーに溶け込まない度合いの強かったユダヤ人が排斥される結果を招いたことも踏まえれば)超えられる程度に良心的な、言語や文化への理解や共感といった一定のハードルがむしろ必要とされている可能性もあります。ただ経済的な理由で、お金のために来たひと、と理解されるよりも、この地域をそれなりに気に入ってきたのだという感情が働いたほうが、受け入れる側も移民側も相互に幸せではないでしょうか。この点でイギリスの現状はどのようなものか。産業革命のあとは植民地というかたちで、戦後は移民、投資というかたちで競争力を取り込んできたイギリスやEUの在り方に関心がもたれます。