Happy New Year !

作家須賀敦子さんは「古いハスのタネ」で、宗教そのものが個人のものに変化するなかで、宗教の祈りから詩、文学が生まれたことについて言及し、
「共同体によって唱和されることがなくなったとき、祈りは、特定のリズムも韻も、その他の形式も必要としなくなるから、韻文を捨て、散文が主流を占めるようになる。散文は論理を離れるわけにはいかないから、人々はそのことに疲れはて、祈りの代用品として呪文を捜すことがあるかもしれない」
「文学と宗教は、ふたつの離れた世界だ、と私は小声でいってみる。でも、もしかしたら私という泥のなかには、信仰が、古いハスのタネのようにひそんでいるかもしれない。」
と書いています。
 私はブログ自体がどのようなものなのか、はたして個人の「メディア」のようなものなのか、今後どう変化していくのかについて関心をもっています。このブログも文学などではなく、ましてや宗教でもありませんが、できれば呪文のようにモゴモゴと呟くモノローグよりは、小声で囁くぐらいにしかならなくても、近況や考えていることをすこしづつ書く小さな媒体にしたいと思っています。日記よりはお手紙形式で。

謹んで新年のご祝詞を申し上げます。 2009年元旦




トリエステの坂道 (新潮文庫)