2011-01-01から1年間の記事一覧

A fruit tree at the base of mountain.4.

夜おそくから降り始めた雪は、朝にはあたり一面を優しい白と眩い銀の世界へとかえていました。雪は、街道や地面のデコボコはもちろんのこと、そこら中のイガイガやトゲトゲ、モコモコもおおかた隠してしまって、明るく輝いていっそう輪郭をぼかしていきまし…

A fruit tree at the base of mountain.3.

楓という楓を彩りゆたかに、紅くあるいは黄色に染めあげた透明な秋の風は、川沿いの木柴で力強く笛の音を奏で、入江で輪舞を踊り、葉っぱの目の前を通り過ぎて、遥か遠く西方へ駆け足で旅立っていきました。葉っぱはシンと冷えた初冬の空気に触れ、キュッと…

季節花日記〜その十六〜紅葉(御岳渓谷)

古刹巡り絵日記そのじゅういち(京都永観堂)

古刹巡り絵日記そのじゅう(京都東福寺紅葉)

古刹巡り絵日記そのく(京都隨心院紅葉)

古刹巡り絵日記そのはち(京都毘沙門堂紅葉)

古刹巡り絵日記そのしち(京都醍醐寺紅葉)

古刹巡り絵日記そのろく(京都西明寺紅葉)

古刹巡り絵日記そのご(京都神護寺紅葉)

古刹巡り絵日記そのよん(京都高山寺紅葉)

A fruit tree at the base of mountain.2.

星の瞬きから生命が始まるという古代からの伝言が、実際常に真実であるのか、確かめることができるのは遠い未来の出来事であるのかもしれません。まだ若い芽であるその葉っぱですら、いつから自らが葉っぱであるのか、正確なところはどうにも分からないので…

The little garden in a village around space 9.

キプロスは、東に向かう数えきれない飛行船の群れを見る老人の瞳に、希望と尊敬、それに不思議な懐かしさのようないろあいが含まれていることに気づきました。キプロスは静かに「飛行船がたくさん出帆する風景を前にも見たことがあるのですか。」と老人に尋…

A strange street nearby the cafe.1.watchmakers.

ジュリエッタは秋の休日のある日、お気に入りの青いワンピースを着て、公園のブロンズ像と四角い枠がシンプルに重ねられたオブジェの前を通って、自宅のアパルトメントと駅の間にあるカフェにいつものように出かけました。カフェの中は、木目も鮮やかな木材…

A fruit tree at the base of mountain.1.the seedling looks like "eye"

それはとてもちいさな芽でした。まだとてもちいさく、そして半透明でしたから、はじめのうちはそのおぼろげな萌しのようなものが果たして「芽」であるものかどうか、どうにも判断がつかないのでした。それは空の色を映し、朝陽のように燦燦としたり、青く青…

季節花日記〜その十五〜レンゲショウマ(御岳山)

The little garden in a village around space 8.

キプロスは、「空を飛ぶ方法」という題名の絵画をしばらく眺めていました。老人は「まだなにか考えているようね。」といって、だまってキプロスの藍色のカップに二杯目のコーヒーをなみなみと注ぎました。キプロスはひとこと礼をいって、スプーンひとさじ分…

The simple tales to hold the earth by it's tale. 18.a strange leather bag.

昔々、未知の南の島を目指した船団が、小高い丘と坂の多い港町に寄港したあと、暁に遙か遠く南西に向けて、雪の降る中で針路をとり、今日も尚秋から春にかけて大陸沿いにひんやりと冷たく吹く風にのって、航海していた頃のことです。凛とした藍色の夜空に明…

季節花日記〜その十四〜紫陽花(鎌倉浄光明寺)

季節花日記〜その十三〜紫陽花他(鎌倉光則寺)

The simple tales to hold the earth by its tail. 17. strange feelers.

昔々、未知の南の島を目指した船団が、小高い丘と坂の多い港町に寄港したあと、暁に遙か遠く南西に向けて、雪の降る中で針路をとり、今日も尚秋から春にかけて大陸沿いにひんやりと冷たく吹く風にのって、航海していた頃のことです。凛とした藍色の夜空に明…

季節花日記〜その十二〜紫陽花(鎌倉長谷寺)

季節花日記〜その十一〜紫陽花(鎌倉成就院)

季節花日記〜その十〜紫陽花〜(鎌倉海蔵寺)

季節花日記〜その九〜紫陽花~(鎌倉浄智寺)

季節花日記〜その八〜紫陽花(鎌倉明月院)

The simple tales to hold the earth by its tail.16.a strange mariner.

昔々、遙か西の国の港を巡り、やがて未知の南の国を目指したという船団が、小高い丘と坂の多い港町に寄港したあと、暁に遙か遠く洋上へ向けて帆をはり、今日も尚秋から春にかけて大陸沿いにひんやりと冷たく吹く風にのってしばらく航海していた頃のことです…

The little garden in a village around space.7.

キプロスは、飛行船をつくろうと思いました。ふわりと浮かび、夜は月の海、昼は明るい太陽の宙空を滑るようにすすむ白い飛行船。不思議なことにその飛行船はもうずっと頭の中に愛らしく存在していたようにキプロスは思えました。キプロスは老人に「私には飛…

古刹巡り絵日記〜そのさん(鎌倉安国論寺)

古刹巡り絵日記〜そのに(鎌倉松葉谷妙法寺)