読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

A fruit tree at the base of the mountain.13.

葉っぱのジョルジョは「宙空の鏡」を青い小舟で曳いて歩くうち、宙空を眺めたあとに、ふと葉の一部を傘みたいにしてみました。呼吸と意識を一定にして、透き通った三枚羽根をくるくると回してみるのです。そうすると近くにいて葉っぱに気づいた動物や木々は涼しいねとか、おもしろいね、楽しいねと言います。葉っぱはすこしだけ気持ちが楽になります。「せっかくだから四枚羽根にしちゃえば、その方がしあわせそうでしょ。」とクローバのエンリケなどはいうのですが、葉っぱは隙のない四枚羽根よりも、そして尖って頑丈な傘よりも、今は三枚羽根がよいと思うのです。透き通っているならば、(光を反射することはありますが)まわりの色合いを変えてしまうこともありません。それに三枚羽根ならば、傘の下に暗い陰をつくってしまうこともありません。だいいち天蓋で頭上を覆ってしまっては星々がみえないじゃないか、と葉っぱは思うのです。そんな想いを抱えて三枚羽根を眺めると、その葉はきらりと輝るようにみえます。そして、葉っぱは、三枚羽根をくるくるまわすといつも透明な気持ちになるのです。傘ほどではありませんが、雨や日射しが強すぎれば、すこしはやわらげることもできるかもしれません。葉っぱはやがて、三枚羽根でやわらかい風をおこしたり、ほっとする空気を起こすこともできるようになりました。森の博士のお話では、どこであれ、世界には共通の土壌みたいなものがあって、動物も植物もみんなそのゆりかごの空間に根ざして生きているのだというのです。だから、生き物が育つためには、海でも山でも、野の中でもヒタヒタが大切だと葉っぱは思うのです。葉っぱはまた一時、三枚羽根で小さな傘をつくりました。あたりはすこしづつ様々な秋色に彩られて、藍色の宙空には青く輝く月が浮かんでいました。