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A fruit tree at the base of mountain.18.

葉っぱのジョルジョは、古代の森を想い、現在へとつづく葉紋を探しては辿りました。それから未来の森を想いました。命脈はときにかさなり、縒りあってはやがて時の彼方にひろがってゆきました。窓からの風で不意にひらいた辞書の表紙の裏には言葉の起源(はじまり)は命綱であり、盾であったと記されています。現在、一時代にわたり地に縛られたそこここの葉はまるで空をまうことを謳歌しているかのようです。かるければより浮かぶわけではない、そうぞうしいことが創ることではきっとないと葉っぱはおもうのです。言葉を紡ぐことはやはり、生きることでもあると思うのです。けれど羽根を生やすことはできる。葉っぱは樹木になることにきめました。そうして、星の瞬きを多くの青い葉で受けて、ほんのすこしの空気と小さな光はなつ実をつくろうとおもいました。それがどうやら森と樹木のはたらきのようです。そしてこのおおきな宙空のもと、生き物が言葉と意識で邂逅する徴しにそえて、ゆりかごで包んだこの実をおくろうと葉っぱのジョルジョは思いました。時節は未だ四季のはじまり、宿屋の窓から桜色の花びらがまいこみ、上着の衿に輪になりました。やがて藍色の宙空に、白い雲がいくつもふわりと浮かび、明るい月が雲間を通して、この森をめぐる丘の街にやわらかな光りを届けていました。