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A fruit tree at the base of mountain.28.(改題予定)

月みちて青の静寂に包まれる頃、葉っぱは半透明の飛行船のなかで、宙空を眺めていました。宙空をのぞむ窓辺は、多様な美しい花や草にいろどられています。葉っぱは呼吸を整えて、芽の緊張(はり)をすこし解きました。そうして浮かぶ星々、遙か宙空を行き交う飛行船をずっとみていました。吠えることが圧倒することでないの同様、睨むことが見通すことではないのです。葉っぱは飛行船に銀製の羅針儀をとりつけました。意識が宙空の一点と溶け合ったなら、羅針儀はその座標を示すことでしょう。舵は座標の先の方角へ、あるいはよりそってカチリカチリと動いています。飛行船は空間と時間を超えて静かに移動しているのです。