a beaver build up a little public garden.2.fallen leaves make a note.

エアフィールド・スミス・ジュニアは、巣を作るのだったら、ふかふかしていて、空の見える、とても素敵な巣を作ろうと思いました。そこで家に戻って、巣作りについてじっくり考えることにしました。彼は帽子を手に持って、谷間に流れる小川にずっと前から架かっている石で造られた橋をゆっくり渡って、尚も巣について考えながら、蔦でおおわれた門をくぐりました。そして、木の扉を開けて家に入ると、まっさきに自分の部屋にもぐりこみました。何年も前から部屋にあるクマのぬいぐるみと優しくにらめっこをすると、呼吸を整えて、頭の中で青空を思い浮かべ、内緒の呪文を唱えました。するとぬいぐるみの瞳がきらりと輝いて、紫色に黄色の縁どりをした丸いポシェットが開き、麻の小さな袋になかばくるまれた赤色に橙色のグラデーションが入ったノートがひょいっと姿をあらわしました。彼はポケットからさきほど丘で拾った葉っぱをとりだして、じゃがいもを煮詰めてつくった糊でそのノートにぴたっと貼ると、日付と天気を弓なりの符号で記し、それからちょっと首を傾げて、今日の気持ちを音符にして書き込みました。赤や黄、橙色をしている葉っぱはみなどれも温かく、耳をそっとあてると、更紗の触れあうような感触の向こうに、遠く葉っぱの育った明るく澄んだ日の光や、風の声、周りの鳥や動物の姿まで心に浮かぶようでした。彼はいつかこの葉っぱの故郷の山や森、林をひとつひとつ訪ねようと思いました。この葉っぱはきっと、その際のあい言葉なのだと彼は思いました。彼がノートを丁寧にポシェットにしまって、もう一度秘密の呪文を唱えると、クマのぬいぐるみは微笑んで、一度頷くと、いつも通りの様子に戻りました。エアフィールド・スミス・ジュニアは、ポッドでお湯を沸かし、秋のはじめにパンダの商人がもってきた、遠国由縁の笛と夏蜜柑の印が刻まれた紅茶の缶から葉っぱをそっとすくい、紅茶を作ると、コップにスプーン一杯の砂糖とミルクをたっぷり入れてゆっくりかき混ぜながら、巣作りについてまずどんなことからはじめようかと思いました。